映画『おとなの事情スマホをのぞいたら』

2周ぐらいした、俳優陣が見せる大人のシットコム。とにかく面白かった。

イタリアで大ヒットした映画のリメイクとのことだったが、全く前知識を入れず、年末に劇場で予告編を見て、面白そうだなとふらっと見に行った。
大概こういう状況の方が楽しい映画に出会う確率は大きい。

極端に癖の強い役回りの人間が一人もおらず、たんたんと物語が進んでいくように見えて、いつの間にか登場人物の一人のような気分で映画にのめりこんでいく。

最初に目を引くのは常盤貴子の演技。ともすれば下品になってしまいかねない中年女性をもちろん持ち前の美貌のせいもあるが、ギリギリの線で下品になり下がらない、かといって品があるわけでもないラインの演技に惹かれていく。

そして軽薄さを演じさせたら今日本の俳優で5本の指に入るであろう渕上泰史の演技や、さも訳ありな雰囲気を見せ切る増岡徹、あんにゅいで丁度いい感満載の木南晴夏、などなど

芸達者な役者が勢揃いするシットコムの中で、見事にそのスター性を消し去り、コメディ俳優として存在し続けた東山紀之、この姿を見るだけでもこの映画を見る価値が十分にある。

ともすれば安っぽくなってしまうシットコムを成立させるのは、展開を引っ張る脚本とセリフ回しの妙はもちろんだが、個人的にはいかに役者に華があるか、ここに尽きると思っている。

いくら演技が上手くても、役者として優れていたとしても、華の無いコメディは(これはコメディに限ったことではないが特にコメディは)貧乏くさくて見てられない。 しかして、華があって、コメディを巧みに店うことが出来るいわゆるセンスがある役者というのも少ないのも事実である。上質な大人のコメディ、それが見られるのは実は結構数少ない。おそらくロングランはしないであろうこの作品が緊急事態宣言真っ只中で上映されているのは口惜しい。

こういう映画こそ劇場で体感してほしい

作品サイトはこちら
おとなの事情スマホをのぞいたら

予告編
https://youtu.be/NDHtN7IhbS0

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